グリーンウッドワーク体験会🌳

木育

『アルプスの少女ハイジ』に出てくるおじいさん(オンジ)が跨って木を削っているシーンをご存知でしょうか?
木をサクサクと削っている様子がなんだかとっても楽しそうなんです!

男性がやるイメージですが、女性や子どもに気軽にやってもらい、木に触れて、色んな人に広めたいとの思いから、この体験会は、市から委託を受け、木育の取り組みを広く市民に普及するために、高山独自のグリーンウッドワークプログラムを開発し、市全域で実施できる体制を作る目的で行われました。

グリーンウッドワークとは、イギリスが発祥で、直訳すると「緑のおしごと」
「グリーンウッド」 は「生木」を意味します。 「生木」とは、森から伐採したばかりの 乾燥していない木のことです。
その生木を伝統的な手工具で削り、割り、形作りながら小物や家具を作る木工技術のことを「グリーンウッドワーク」 といいます。近年日本でも少しずつ普及し始めてきたそうです。

2月に2回、2時間体験と、1日体験の2つプログラムを実施。
講師は木工職人として、清見でノクターレという工房を経営されている塩谷英雄さんです。

2時間体験:鍋敷き

ぎふ木育サポーターや、木育に関心のある大人を対象に開催しました。
自己紹介後、和やかな雰囲気でスタート~🌳
まず、グリーンウッドワークとはなにかをお話していただきました。

今回は清見の共有林から、放置された木を切り出し、その木を使用しました。
この材料を使用することで、里山の整備にも貢献しています。
木は、杉・ヒノキ・朴(ほお)・ソヨゴ(飛騨地域ではしょうごえと呼ばれている)・延寿(エンジュ)の5種類。
それぞれの木の特徴を説明していただき、実際に体験することで手触り・香り・硬さの違いなどを感じることができました。
手のこで丸太の長さを荒切りし、鉈(なた)・木槌を使いみかん割り、小割りにしました。
木が硬かったり、節があったりと、斬るのに苦戦している参加者もいましたが、サポートを受けながら、さまざまな種類の木を斬ることができました。

ここからは今回のメインの作業。削り馬・銑(せん)を使って、自分で斬った3本の木をスティック状に削りました。
四角にする作業や3本の長さを揃えるのは、なかなか時間がかかりました💦
最初は慣れない道具にぎこちなかった参加者も、徐々に慣れていき、夢中になって削っている姿はとても素敵でした。

長さをカットし、革紐を通す穴を開け、革紐を通して完成✨✨
自分の作品が完成すると、皆さん達成感に満ちた表情をされていました

【参加者の感想】*一部抜粋
・ナタを使って薪割りをしたり銑を使って木を削って形にしていくなど、人生初体験のことばかりでとても楽しかったです!新しい自分に出会えた感じでした。
・生木とのことで、鍋敷きを触るとしっとりとみずみずしく、帰宅後子ども達も、「色がみんな違うね!ニオイもするね!こんなに大きな木がこんな形になるなんてすごい!」と感動してました!
・職人さん達との交流の機会や、木に携わるお仕事のすばらしさを参加者として実感させていただけました。
・なた、銑、削り馬など使い慣れない道具に苦戦しましたが、サポートしてくださり助かりました。どうするとうまくできるかなと考えて道具と向き合う時間も楽しかったです。
・塩谷先生は道具の使い方、特徴など丁寧に教えていただけたので基本的な部分が学べてとても勉強になりました。
・削り馬に跨って全身を使って、完成イメージを頭で考えながら作業するというのは、子どもの発達過程において必要な要素が詰まっていると感じました。簡略化した体験でも良いので、たくさんの子ども達にもぜひ体験してもらい、木や森に興味を持ってもらう良いきっかけになると良いなと思いました。
1日体験:間伐体験&一輪挿し

講師は2時間体験と同じく塩谷さん。
今回は、①間伐体験と、②伐採したての生木を使ってグリーンウッドワークの2本立て。
森林や自然、木育に関心のある親子5組にご参加頂きました。(今回は全員2年生の女の子でした~)

通常、木の加工や作品を作る際は、ねじれたり割れたりするので乾かした材で行いますが、生木は加工がしやすく、刃物が入りやすく、削りやすい、という事で素人でも機械がなくても身近な手道具だけ作れるのが魅力ですす。(木の特性を考えながら削ると剃ったり割れにくい)

日本ではまだ馴染みがないですが、飛騨の歴史を見ると、昔は民具(くわ)を生木で作っていたという記録が残っているそうで、塩谷さんが分かりやすく説明をしてくださいました。

場所を移動し、塩谷さんのお父さんが50年位前に植えた杉という清見の所有林に入っていきました。
立派な杉の木が立ち並ぶ前で、おっぱら夢組合の斎藤さんや、高山市役所森林政策課の職員さんが、林業や森や木のお話をしてくださいました。

●外国から安い材が輸入され、木の値段が下がっていること。
●林業を担う人の高齢化や後継者不足など理由で、管理に手をかけなくなり、木が大きくなりすぎたり、森が育たなくなったこと。
●間伐は、上に大きい木があり、挟まれて大きく育たない細い木を切って、立派に大きく育つ木を残すために行うこと。
●針葉樹である杉は冬でも緑の葉っぱがついていて、光が下に届きにくいこと。
●最初は邪魔するものがないからよく太るが、成長すると光が当たらず成長が遅くなり、外側は年輪の幅が狭く、外側幅1センチで10年以上もある。

お話を伺ったあとは、今回間伐に選んだ木に、伐倒方向となる面に、手鋸で受け口を作っていきました。
初めて鋸を使うお子さんもいて、安全に配慮しながら、皆で交代して切り進めていき、悪戦苦闘の末、ようやく受け口が出来ると歓声が

 

 

 

反対側に切り込みを入れ追い口を作り、プロの方々がロープをかけて準備をしてくださり、いよいよ皆でロープを引っ張り、ゆっくりと倒れ…るかと思ったら、途中で木に引っかかって斜めに…💦(こういう事はまぁまぁあるそうです…笑)

上を見上げると、木々の間が少し空いていて、これで陽の光が入りやすくなり、回りの成長も促し、多様性が繋がってくるとの事で、貴重な体験をさせて貰いました。

ウッドフォーラムに移動し、先程の伐採した木をチェンソーで裁断してくださり、その丸太を鉈(なた)・木槌を使って四つ切のみかん割りに。
丸太が大きかったので、かなり力も必要で、2年生のお子さん達もお母さんも頑張りました!

次は、いよいよ削り馬に跨り、一輪挿しの形へと整えていきました。
塩谷さんがやると簡単そうに見える作業も、初体験の親子にとっては、初めは怖かったり、思うように削れなかったり…

でも次第に慣れて、皆さん夢中になって削っていて、親子で交代しながら二人で協力して作業してみえる様子が、とっても素敵でした✨

中心に試験管を入れる穴をドリルで開けて、表面を整えて、完成っ!!

家に帰ると早速折り紙のお花を飾ってくれました

【参加者の感想】*一部抜粋
●一生に一度の伐採体験を出来てよかった
●丸太が作品になる貴重な体験でした
●素人でも加工する事が出来る 木の素晴らしさを体感できた
●立っていた樹が、切って割って削って作品になるというつながりを体験できてよかった
●間伐前後で森の中に光の入り方が違っているのを目の当たりにして、とても貴重な体験でした

「便利な世の中だけど、自分で作ったものはいびつだけれども愛着がわく、そんな暮らしぶりを感じて貰えたら、それが山の手入れに繋がったり、森に感心を持って貰うきっかけになったらいいな~」と、最後に塩谷さんがお話しくださいました。

2年生の女の子達の表情が、朝と終了後では表情が変わっていたのが印象的でした。
森を助けることに繋がる今回のグリーンウッドワーク1日体験。
この体験会を通じて、実際に木を使うことの楽しさや大切さを知ることができ、新しい発見もでき、皆さんと共有できたことを嬉しく思います。
これから飛騨地域に木育が普及していくように、今後も皆さんと共に力を合わせて盛り上げていきたいです。

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