日進木工株式会社

『木育』を進めていくうえで、木工関連の企業様のご理解やご協力は欠かせないのですが、日進木工さんは、私たちが木育を始めたころから「それはとても大切な活動」と、とても応援して下さっています。

ですので、サポーター企業のお願いに行かせて頂いた時も、快く「よっしゃ!わかった!」とお受け下さり、本当に感謝いっぱいです。

若い次期社長、北村卓也さんが、取材に応じて下さいました。

さわやかな笑顔、優しい物腰、お父様譲りの明晰な頭脳…。木のぬくもりに包まれたショールームでのお話は、本当に楽しくて、とても勉強になりました。

安心・安全、高品位・高品質の家具を世界中に届けたい

岩塚:この度は、日進木工様に、私共の会のサポーター企業になって頂けるという事で、本当にありがとうございます!

北村:いいえ、とんでもないです。

岩塚:まずは、日進木工さんの経営理念を教えて頂けたらと思います。

北村:わかりました。はい。

まず、日進木工の弊社の紹介なんですけども、今年73年目を迎えている会社です。

私の曽祖父と祖父が共同でつくった会社で、昭和21年、1946年の創業になりまして、飛騨の家具の中でもですね、割とシンプルで、モダンなラインで作ってきまして、飛騨の家具の特徴である『曲げ木』という伝統技術を生かしながら、現代のライフスタイルに合う家具を作っております。

龍華保育園で使われている日進木工のこども椅子

岩塚:はぁ~。優しいフォルムなんですね~!

カーブが柔らかくて、ぬくもりのある手触りで、すごく優しい感じがします。

北村:そうですね。はい。

デザインもですね、元々、私の祖父、前会長が、1960年代に北欧だとかドイツに視察に行きまして、「これからの日本の住居に合うのは、こういうスタイルなんじゃないかな」という事で、こういうデザインを取り入れたんです。

先見の明があったと思うんですけども、当時からこのようなスタイルを続けて作っておりますね。

岩塚:元々、家具屋さんという形で起業されたんですか?

ひいおじいさまが創業されたんですか?

北村:そうそう、最初はね。

会社のスタートとしては、もう少し細いものを作ってたんですね。スコップの柄とか、こたつの脚だとか、そんな物を作りながら、高度経済成長期に、家具が大量に売れる時代だったので、その波に乗って、会社が大きくなって、家具技術も段々技術を磨いてですね、軽量でも丈夫な木製家具が作れるようになりました。

安心・安全をベースに、高品位・高品質の家具の製造を、という事を目指しているのと、先人の技を継承しながら、新しい上質なライフスタイルを世界に発信し続けていこう、というのを目標に掲げています。

岩塚:職人さんというのは飛騨の方が多いんですか?

北村:いえいえ、近年は結構、県外からも家具を作りたいって来られる方が多くて、今、大体、会社の25%位は県外出身者ですね。

岩塚:そうなんですか…。そういう方達はここで、全く素人の方もいらっしゃると思うんですけど、技術を磨きながら勉強しながら段々、飛騨の家具の匠の技術を身に付けていくんですか?

北村:そうですね。ある程度、学校だとか、勉強されて来られる方が多いんですけども、うちの会社に入って頂いて、技を磨いて研鑽を積んで頂いて、一人前の職人になる、という方も結構いますね。

岩塚:ありがとうございます。

続きまして、次の質問なんですけども、子育て支援の私共の団体に応援をして下さるという事で、日進木工さんがそのように想って頂けた想いというのをお聞かせて頂けたらと思います。

『木育』は情操教育・人間教育

北村:『木育』とかね、やっぱりそういった事って、すごく大事だと思っています。

うちのこのショールームでも、夏休みは子どもさんに来てもらって、工作をするワークショップをしたり、先日は、大人の方もやって頂けるような、クリスマスツリーを作るワークショップをしたんですけれども、やはりそういった木に触れて、何かを作って頂く体験が、いずれ『教育』とか、『情操教育』とかにつながっていくと思いますし、そういった事が大事になってくると思います

それと、小さいうちから木に触れて、物を作っていく事によって、もしかしたら、将来そういったものに興味をもって、家具職人になってくれる方が出てくるんじゃないかなって願いも込めて開催しているんです。

すぐに効果が出るわけではないんですけども、 高山って土地柄もありますけども、 未来を見据えて、職人をつくっていけるような、そういった環境をつくっていきたいなと思いまして、少しでもお力になれる事はやっていきたいなと思います。

岩塚:ありがとうございます。

私達が今、勉強させてもらってる『ぎふ木育』は、県が主導でやってるんですが、日進木工さんも、龍華保育園の新築を請け負われた際に、ぎふ県産材をふんだんに使った家具などを納めていらっしゃいますよね。

龍華保育園 エントランス 岐阜の木、飛騨の木がふんだんに使われています

北村:はい、そうです。

岩塚:『ぎふ木育』では、『子ども達がまず木に触れて、木に関心を持って、木と森に責任ある行動とれる大人になっていこう』っていうのが最終目標になっています。

高山市は、市の総面積の92%以上が森林なんですが、これまた私がお父様(社長)に熱く語ってしまった事なんですが、なかなか間伐材だったり倒木被害の後処理だったりが思うように進んでいかないという中で、森を守ったり、保全していくという事は、ちっちゃいうちから木や森林に親しんでいく事で、『自分達にも責任あるよな…』っていうような育ち方をしてもらえたらいいな~っていうのが、一番の私達の目的です。

今、北村さんからそう言って頂けたのが、すごく嬉しいです。

国産の木を使う事へのこだわり

北村:そう思いますよね。

『日本家具産業振興会』っていう業界団体があるんですけども、その中の「木材利用研究会』という組織がありまして、家具を中心にしてるんですけども、様々な業界・業種の方が集って、ざっくばらんに意見交換するんですよ。

「もう少し国産材などの有効利用をしていけないか」っていう研究をしている会でして、たまに顔を出してるんですけども、本当に日本の森っていうのは豊かなんですけども、結局林業に従事しないっていうか、まず「森を活かそう』っていう人が少なかったりするんですよ。

高山のような、急斜面の山に生えている木は、伐り出してくるのに、すごいコストがかかるんですよね。それで林業が振興していかないという理由もあるんですけれどもね。

そういった中、日進木工は、国産の木を使ってるんですよ。比率は他のメーカーさんに比べて高いんですよ。

岩塚:わー、それはすばらしいです。

北村:なので、ちゃんと「日本の木で家具を作っていこう』って、うちのポリシーの中にあります。

当然、輸入材もありますよ。ありますけども、できれば国産の木で家具を作れていけたら一番いいなと思っていますね。

日進木工は名古屋城の改修工事を手がけました。美濃ひのきをふんだんに使っています

岩塚:5年くらい前に、林業に携わってみえる方に、「木のおもちゃを飛騨の木で作ったりできますか?」って相談したことがあったんです。

その時は「飛騨の木は燃料にしたり、ざぁーっと山ごと伐採して、ペレットにするとか、そういう感じの使い方をしとるもんで、おもちゃを作っていくっていうのは 、コストがかかりすぎるのと、割に合わなすぎて難しいと思うよ」って言われたんです。

北村:結局、加工とかね、木を使って物を作る人が少ないと思うんですよ。

大工さんとか家具作るのはいいかと思うんですけど、結局、日本の森って、バイオマス燃料とかパルプとかにされちゃうのが、ほとんどらしいんですよね。

だから、木を使ってモノを作る土壌がしっかりできれば、もっと日本産の家具作れると思いますし、木のおもちゃだってできると思います。

せっかく森があって、資源があるんですから、その豊富な資源を活かす人がどんどん育っていってくれたらなと思いますね。

岩塚:本当は、木って、ものすごく身近に、溢れんばかりにあって、例えばえんぴつにしても、机にしても、箸にしても、子ども達の周りは、木からできてるモノがたくさんあります。

ですから、子ども達の興味、関心と『木』を結びつけていけるような働きかけを、これから日進木工さんと組んでやらせてもらえたらうれしいです。

北村:そうですね。この後ろに、これは個人の趣味みたいなもので作っているんですけども、 うちの職人が作った 木のスピーカー(スマホを置いて音が出る)や木のお皿など 、 様々な物が置いてありす。

自分の感性で、自分の生活に置きたいような物を作る事って、すごくいいなって思いますよね。

岩塚:結構、子ども達って、感性が豊かで、うちが運営している『チャイルドランド』という親子のつどいの広場に、色んな岐阜の木を使った『まぁるいつみき』っていうのがあるんですが、トチとか朴とか、ヒノキとか、子ども達が「すべすべしてる~」「つるつるしてる~」「やわらかい~」「かたい~」「かるい~」とかって、さわったり、並べて遊んだりしてるんです。

北村:すごい!それって触感とかね、普段気付かない事を感じる能力があるんでしょうね。

岩塚:本当に今、卓也さんがおっしゃって下さったような、小さいうちから木に触れる情操教育って、すごくいいなと思います。

北村:本当にそう思います。

岩塚::卓也さんも小さい時から木が周りにあったんですか?

木に囲まれて育つという環境の大切さ

北村:僕は、家がすぐそこなもんですから、工場の中が遊び場だったようなところもあって、色んな端材で遊んだり、作ったりしてました。

岩塚:へぇ~。

北村:うちの子どもも同じような感じで遊ばせてもらってます。

岩塚:わ~、いいですね!

小さい時から、自分の親の工場に木がたくさんあって、それで遊べるなんて、夢みたいです。

しかも、「将来、自分がこの会社を繋いでいく」っていう事も、小さいうちから感覚として備わっていくようなところもあるかと思います。。

北村:そういったところもあったかもしれないですね。

岩塚:それが親から押し付けられたものじゃなく、自分も小さい時から親しんでるから、自然と「自分が支えていくんだ」って思うようになる生き方って、いいですね。

北村:そうですね、はい。

岩塚:ステキなお話をありがとうございます。

最後の質問になるんですけども、前に、異業種交流会(『こなきゃしょうがナイト』)でお会いした時の印象は、高山の街づくりにとっても想いがおありになる方だという事です。

北村:いやいや、そこまで何もできてませんよ。

岩塚:高山の子ども達とか、高山の未来に対して想われてるところを教えて頂けたらと思います。

『木の国』の特徴を活かした、まちづくり

北村:これから全国規模で人口が減っていく世の中ですし、少子高齢化になると思うんです。

高山も人口減っていって、大変な時代がくるかもしれませんけども、『高山』という街を愛する人が1人でも多くいれば、街は活性化すると思うんです。

観光客もこれだけ多く来てくれる、すごく恵まれた土地でもあるので、それぞれの方がそれぞれの仕事をもって、一生懸命やって頂ければ、街は活性化していくと思うんです。

ただね、高山だけの目線じゃなくて、色んな世界を観て、色々な視点をもって、いいところは高山に取り入れて、高山にしかない独自性を持ちつつも、世界に発信していける街ができていったらいいんじゃないかなと思いますね。

せっかく、『木の国』という特徴があるので、その特徴を活かして、昔からの匠の技がこれからも息づくような街になっていけばいいのかなと思います。

岩塚:卓也さん自身は1回高山を出て、戻ってこられたんでしたか?

北村:そうですね。

岩塚:もちろん、会社の後継者でいらっしゃるから、高山に戻ってくるのは自然の流れだったと思いますけど、自分の周りの若い人達が、高山に対する魅力を口にしたり、「自分達がこれから担っていくぞ!」みたいな声は、よく聞かれますか?

同年代の若者と志を一つにして、未来を作っていきたい

北村:そこはね、僕も商工会議所青年部会に入ってまして、これからの若い経営者と話す機会が沢山あるんですけど、皆さん色々と想ってますね~。

「希望をもってやっていこう!」って志ある方が沢山いますよ。

これからの100年後の高山をどうしていくかって話し合う機会もありますしね。

未来を考えて、今できる事をやっていけたらいいんじゃないかなと思いますね。

岩塚:お父様とご一緒させて頂いた高山市の有識者の会議では、人が減っていく、後継者はいない、産業は縮小していく、っていうようなデータが出されたりしていて、未来への心配もあったりします…。

そういうデータを見ると、「何とかならないかなー」、「何とかしなくちゃな~」って思います。

でも若い方達が志をもってポジティブに未来の事を考えてくれているなんて、本当にうれしいです。

「高山の未来は開けていくかな」と思います。

日進木工のショールーム。とても癒される空間です。

北村:世の中は色々暗いニュースも多いし、この先の事はどうなるかわかんないんですけども、前向きに明るくやっていくしかないのかなって思います。

岩塚:高山は、割と地方都市の中では、経済的には不安のない自治体って言われてますが…。

北村:そうですね。こんだけ観光がちゃんとしていればね。それはありがたい事ですよね。

岩塚:そうですね。JC(高山青年会議所)さんだったりYG(高山商工会議所)さんだったり、そういう方達が子ども達の為に色んなイベント組んで下さって、こういう機会を体験する事で、子ども達が、「自分達が大きくなったら、高山で子育てしたい」ってふうになればいいなと思います。

北村:そうですね。そう思います。

岩塚:ありがとうございます。

今年のこだま~れに向けても、日進木工さんには多大なるご協力を頂くような形で進めています。

飛騨地域で『ぎふ木育』が盛んになって、イニシアティブが取れる位の勢いになるくらいに進めていけたらと思いますので、ぜひ今後共何かとご相談させて下さい。

また、私達の会に対しても、ご希望だったり、アドバイスだったり、「こうやってやらんといかんぞ」なんていうお叱りなんかもぜひぜひお願いします。

北村:いやいや、とんでもないです。

やはりね、わらべうたの会さん、『子どもの笑顔があふれる街へ』っていうキーワードをもっていらっしゃって、すごく素晴らしい会だなと思いますし…。

岩塚:ありがとうございます。

北村:(わらべうたの会のリーフレット見ながら)『伝統を活かす』とか、『自然を活かす』とか、『地域活性化』とかね、テーマを掲げてやっていらっしゃるので、本当に尊敬というか、すごいなって思います。

岩塚:ありがとうございます!

そう言って頂けるのが、本当に励みになります。まだまだ細々と、申し訳ない活動なんですけど…(笑)

北村:ぜひ、うちとしてできる事があれば、何か力添えしていきたいと思いますし、ぜひ頑張って頂きたいと思います!

岩塚:ありがとうございます。

お心を大事にして、頑張らせて頂きます。

本当にありがとうございました。

穏やかに微笑みながら、でも、『木』のお話や飛騨の未来のお話になると、目を輝かせて熱く語って下さった卓也さん。

今年開催する「木育フェスタ」では、日進木工さんにも大変ご協力を頂くのですが、卓也さんと卓也さんのお父様に「こういう所に相談にいってみろ」「こういう所が協力してくれるぞ」とたくさんのアドバイスを下さっています。

本当にありがたい事ですし、たくさんの勇気とパワーを頂きます。

お心を大切にして、これからの活動に活かしていきます。

ありがとうございました。

日進木工株式会社公式HPはこちらー