人づくりが企業の土台
飛騨の老舗家具ブランド会社、『飛騨産業』。
この世界中から愛される家具会社がサポーター企業になって下さるとの事を伺い、心躍らせながら、岡田社長さんのもとを伺いました。
岡田社長さんの未来への構想、飛騨の森への想い、若者を育てていく事への使命感などなど…
どのお話もワクワクしながら伺わせて頂きました。
飛騨職人学舎
技術を磨くことは、人間性を磨くこと
私、先日、岡田社長さんの講演会を伺って、とにかく「飛騨職人学舎」のお話にものすごく衝撃を受けました…。
現代の日本に、こういう若者の学び舎があるなんて…。
しかも、みんな、本当に礼儀正しく、志高く、人柄もすばらしい青年たちですよね?
そうやね~。
木工職人として一人前になるためには、技術を磨くだけじゃだめなんですよ。
人間性も磨いていってこそ、世界に通用する、飛騨の木工産業の次代の担い手になってくれると思ってるんですよ。
もうね、相撲部屋みたいなもんやね。共同生活で、食事も一緒にしてますよ。朝から晩までずっと一緒です。
私、話を伺っていて、ひょっとすると自衛隊より厳しいなって位。
朝5時起床してランニングして…とか、恋愛も携帯も禁止とか、今時本当に今の若者がそういう環境に飛び込んで自分を磨いていくっていう世界があるんですね。
本当に感心しますよね。
そんなところへ若者なんて来るわけないと思ってたんだけど、応募してきて頑張ってくれるんですよね。こっちもびっくりしましたね。
そういうふうなとこで育った若者がモノ作りの第一線で活躍していく…
そうですね。
子どもの頃からモノ作りが好きだったって子が、実際にモノ作りでやって、あまりにも自分の力の無さに気付いて、本気で学びたいとそういう子達が来てるんで、好きなんだよね。
やっぱこうして、日に日に腕が上がっていくのが嬉しいんだろうね。
夜、自分の修行が終わって~、かんなやノミ研いだりして、10時頃に寝るまで、それまでずっとやってますからね~。
朝も5時に起きて、この近くの農家を借りてるんですけど、そこで共同生活で、畑もあるので、当番が毎朝食事、晩御飯も当番制で作る。
男の子達も調理するんですか?
もちろんです。
だからびっくりしますよ。夏(お盆)に帰ると今まで家で何もした事のない挨拶した事もないような子が、朝起きると「おはよう」って挨拶するし、料理の手伝いするし、掃除もするし、って親がびっくりしますよ。
こんな子に育てて頂いて、逆にものすごく感謝されるんですね。
本当にね。
卒業作品っていうのが、「1番お世話になった方の為の家具」っていうのがテーマなんですよ。大体、お母さんの為に作りますかね~(笑)
お父さんはあんまり・・・(笑) お母さんなんですか~(笑)
そう…。
お母さんあまりお化粧してないからお化粧台を作ってやったとか、台所で不便そうにしてたから台所の棚を作ってやったとか、もうちょっとゆっくりして欲しいからロッキングチェアを作ってあげたとかね。そりゃ卒業式にはご両親の方も感動で涙流してみえる。
そんな子どもからプレゼントされたら泣きますね。
ありがとうって言われるだけでも嬉しいのにね。
それもたった2年でね、ここまでできるのかって、本当に我々も参加しててウルウルになってね。
すごいですね。飛騨産業自体の経営理念というのは、ヒト作り、人材育成っていうのもあるんですね。
そうなんですよ。
事業全てですけど、ヒトがあって、全てヒト・カネ・モノ・情報って言うけど、ヒトにモノもつくし、金もつくし情報もついてくるわけですから、ヒトがまずなきゃ。
例えば金についていくヒトっていうのはあんまり人としては…でしょ?
それよりもまずヒトをつくれば、金もモノも情報も集まって来る。昔の言葉で言えば、「人は石垣、人は城」ですよ。
それを社訓というか、理念という事に…
そうですね。
次の世代にひきついでいく事の大切さ
よくわかりました!
今回、私どもの活動に対して応援して頂ける事になったんですけども、社長さんが今回私どもの子育て支援というところに対しての応援しようというふうに思われたきっかけというか想いを聞かせて頂けたら…
そうですね。
やっておられる事が、地域の文化とか、そして子ども達に対する、いい大人になって欲しいというかね、そういう純粋に感じられるので。少しでも我々がお手伝いをといってもなかなかできないから少しでも応援していきたいなというふうに思いますね。
ありがとうございます。本当に心して大切に活かさせて頂きます。
岩塚さんずっとやってこられたのずっと見させて頂いてて、やっぱり純粋にやっておられる姿勢にいつも感動していますので。
ありがとうございます。本当にそう言って頂けると励みになります。
子どもが生まれて、ここで子育て始まって、本当に素敵な環境すぎて、やっぱり「子育てするなら高山市!」っていうのも全国発信したい位で。
あ~、そうですか!そんなふうに想って頂いてる。我々住んでるとわかんないからね。よそを知らないからね。
自然も豊かですし。
そう言って頂けると高山に対する誇りを(笑)
それをホームページとか色々な場で発信して、少しでも高山で子育てしようと思って下さる方が増えたらいいなと思ってます。
本当そんな都市になってくれるといいですね。
今は、何もかもが東京集中でね、地方がどんどん疲弊していく中で、高山は幸いに観光でね、こうして世界から沢山来て頂いて、いい環境にあると思うんですけど、この環境が崩れていかないようにしないといけないと思うんですよね、次の世代に引き継いでいく為にはこういう活動が絶対必要だろうと思うし、ぜひ頑張って頂きたいと思います。
本当にありがとうございます。
社長さんの、高山の未来とか、子ども達の未来に対しての想いを最後に聞かせて頂けたらと思うんですけども。
“郷土を愛する人”に育ってほしい
そうですね。今、高山はこういった形で脚光を浴びてはいますけども、街を見てても、私が知る昔の高山の良さは失われつつあるような危機感はありますよね。
何とか歯止めをして、そして、次の世代に本当に“良き高山”を残していけるようなそういう人に育って欲しいし、郷土を愛するそういう心をもった子育てが必要なんじゃないかなと思いますね。
危機感はどういったところに感じられますか?近代化というか現代風になってきてる、って事ですか?
というか商業主義になっちゃってるんですよね。
そして、まちの中をまわって見ても、昔からある高山の良きものがどんどん少なくなってきてるそんな危機感がありますね。
やっぱり本当に高山のモノ作りとか、伝統工芸とか、そういったものこそ、子どもたちがしっかりと魅力を感じて関心を持って、これは残していかなっていうふうな子が1人でも2人でも増えてくれる事が大事な事だと思っています。
工業だけでなく、食についてもやっぱり昔から高山にある高山の地産地消といいますかね、そういう朴葉寿司であったりとか色々ありますよね。
そういうようなものも商業ベースで入っていってしまうと、本当に良さが、昔の味と違ってきたよなぁみたいなのがなきにしもあらずですよね。
そういうのもあるんですね。
今、大阪から従妹が来てるんですけど、今「半分、青い。」岐阜のをやってるんで、「五平餅を食べたいんやけど」って言われて、「高山の五平餅はえごまを使うもんで、テレビのとは違うよ」って言ったら「え~!!」ってびっくりしてました。
「でも、あぶらえのも美味しいよ!」ってちゃんと伝えましたけど…。
あぶらえって言えるようになった(笑)
やっとちょっと…えごまとあぶらえって違うものと思ってたら「おんなじなんや~!」って知りました…。
えごまって言うとエサの方だから。
そういう事なんですか!
小鳥のエサなんだよね(笑)
ちょっとランクが下みたいなイメージがあるんだけど、あぶらえって言うと完全にごまと絡むとかそういうイメージで僕らは。
そういう事なんですね。
本当にあぶらえを作ってみえる農家さんの御苦労を聞くと、収穫から商品にするまで、とっても大変なんですよね?
そうなんだよ!
細かい作業でね~。でも、体にはとってもいいからね、今はえごま油なんてのも話題になってるしね…。
最後はあぶらえの話になっちゃったけど、とにかく、飛騨高山の伝統、文化、技術、そしてそれを支えてきた「飛騨人の人柄・人としての徳」、これをしっかり次代を担う子ども達につないでいきたいと思ってるし、子ども達がそれを喜んで継承していってほしいと、強く願ってます。
頑張ってくださいよ!!
私の岡田社長さんのイメージは、とにかく「万年青年」です。
お会いしてお話を伺わせて頂いたら、まさしくそのイメージ通り。
キラキラと目を輝かせながら、飛騨の未来、子ども達の未来について熱く語って下さいました。
社長さんのお人柄に惹かれて職人になり、飛騨の匠の技を継承している若者が多くいる事もうなずけました。
「飛騨にこの高潔の士あり」、すばらしい方とすばらしい企業様に支えて頂け、感激いっぱいです。
お心を大切にして、これからの活動に活かさせて頂きます。